第83章 今夜は離れられない

 幸い、調べがついた。

 浅野莉緒は観光ビザを取って、おばあちゃんを連れてイギリスへ行っただけ――それだけだった。

 吉野結人はようやく、胸の奥に引っかかっていたものがすとんと落ちた。

 車を走らせ市街地の自宅へ戻ったころには、もう深夜だった。

 室内は、相変わらずがらんとしている。

 浅野莉緒はずいぶん前から、ここへ長く戻っていない。けれど結人が「この家は寒い」と、ここまで骨身にしみて感じたのは初めてだった。空っぽの空気が、心臓のあたりを冷やしてくる。

 不意にスマホが鳴った。

 画面に浮かんだ名前に、結人は眉を寄せる。小林岳斗。

「もしもし、結人。今どこ? ちょっと出てこ...

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