第85章 いったい彼のどこが好きなの?

半月後。フランス、パリ――シャルル・ド・ゴール空港。

 浅野莉緒がおばあちゃんの手を引いて出口へ向かっていると、やわらかな呼び声が飛んできた。

「莉緒! こっち!」

 ぱっと顔を上げる。すると、出迎えの人波の向こうで、安藤里穂が笑顔で大きく手を振っていた。

「里穂姉さん!」

 浅野莉緒の顔が明るくなる。急いでカートを押し、そのもとへ駆け寄った。

 ふたりは軽く抱き合い、安藤里穂はそのままおばあちゃんの手も取って、旅の疲れはないかと気遣う。

「疲れてなんかないよ。安藤さんの顔を見たら、嬉しくてねえ」

 ここしばらく一緒に過ごすうちに、おばあちゃんも安藤里穂が心から浅野莉緒のこと...

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