第95章 川崎先輩は童貞だ

川崎綾人はふっと笑い、ようやく胸をなで下ろしたようだった。

 だが次の瞬間、アルコールの残りがまたどっと押し寄せてくる。彼は張るこめかみを指で揉み、ぐったりとソファにもたれ込んだ。

「ちょっと……酔いが回ってきた……悪い、少しだけソファ借りる……」

 そこまで言ったきり、川崎綾人はその姿勢のまま、深い眠りに落ちてしまった。

 浅野莉緒は、そんな寝顔をじっと見つめた。

 胸の奥で、いくつもの感情が静かに絡まり合う。

 小さく息をついて立ち上がると、客室から厚手の掛け布団を抱えてきて、起こさないようそっと彼の身体にかけた。

 その夜、浅野莉緒はベッドに横になったまま、窓の外の夜空を...

ログインして続きを読む