第104章 すべてを風に任せよう

平山亜美の視点

  それは小さなブリキの箱だった。半分以上が土に埋もれ、縁はところどころ錆びている。それでも、ふたの留め具だけはまだしっかり生きていた。

  私は力を込めてそれをこじ開けた。中には、黄ばんだチェキが一枚、静かに横たわっている。

  年月が長すぎたのだろう。鉄箱に守られていたはずなのに、湿気が回ってしまったらしい。角はわずかに反り、紙の端が頼りなく波打っていた。

  私はその写真を見つめたまま、長いこと言葉を失った。

  写真の中の二人は、あの古いオークの木の下に並んで座っている。眉も目尻もやわらかく弧を描いて、眩しいくらいに笑っていた。

  私は白い花柄のワンピー...

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