第113章 どうして彼のはずがないのか

平山亜美の視点:

 心臓がどくんと跳ねた。思わず身を乗り出す。

「何か、思い当たることがあるんですか?」

 奥山夢子さんの眉間のしわが、みるみる深くなる。しばらく黙り込んだあと、ようやく掠れた声でつぶやいた。

「……うっすら、思い出したことがあるの。でも、それが息子の病気と関係あるかは分からない」

「聞かせてください」

 彼女はこめかみのあたりに指を当て、記憶をたどるようにゆっくりと言葉をつないだ。

「確か……急に症状が出る2週間くらい前。学校から帰ってきた日があって、その日は、やけに嬉しそうだったのよ。玄関を開けるなり私を呼んで、にこにこして……小さな紙の箱を提げてた」

「...

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