第116章 君の目は確かだ

平山亜美の視点:

「これ、メモリチップだ。中に録音が入ってる可能性がある。ただ、データを解析できる人間がいないと吸い出せない」

彼は慎重にチップをティッシュで包み、自分の内ポケットへしまった。続けて奥山征二のスマホも手に取り、そちらも抜かりなくコピーを取る。

「行こう」

私はうなずき、まだ魂が抜けたように座り込んでいる奥山夢子へ向き直った。

「奥様、私たちはこれで失礼します。どうかお身体を大事に」

奥山夢子は我に返ったように顔を上げ、涙で滲んだ目で私を見た。

次の瞬間、彼女は勢いよく立ち上がり、私の手をぎゅっとつかむ。

「ごめんなさい……」

ぽろり、ではない。堰を切ったみた...

ログインして続きを読む