第118章 実に吐き気がする

平山亜美の視点:

  頭皮がぞわりと粟立った。

  もし背後から下川宏の声が響かなかったら――あれが男の笑い声だなんて、きっと信じられなかったと思う。

  下川宏は、誰かに甘えるみたいな調子で言った。

「見てよ、今のあいつ。物は投げるわ、包丁は持ち出すわ、わんわん泣き喚くわ……もう完全にイカれたじゃん。ねえ、なんでこれ、親に言えないの?」

  続けて、学年主任の低い笑いが重なる。自信に満ちた、嫌な笑い。

「そりゃ言えるわけないだろ。ああいう貧乏学生はな、ガキの頃から敏感で自尊心だけは高い。自分の努力で成り上がって、親の鼻を高くしてやりたい――そう思ってる。だが現実は、生まれた瞬間...

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