第138章 彼女を救うのではなく、自分を救うのだ

平山亜美の視点:

「莉々を助けられなかった。それは事実だ」

彼は私の手をぎゅっと握りしめた。

「でも今夜、君は君にできることを全部やった。飛び込んだ。掴んだ。連れ戻した。……いいか? 君が救ったのは加藤世奈じゃない。7歳の女の子だ。あの子を救って、君自身を救ったんだ」

指先が、私の手の甲をそっと撫でる。

「もう、岸で泣いてるだけの君じゃない」

その瞬間、堪えていたものがとうとう切れた。涙がぼろぼろと溢れ出す。

私は勢いよく彼の胸に飛び込み、顔を押しつけた。

彼は腕を回して私を抱きしめ、背中をとん、とん、と優しく叩く。

説教みたいな言葉はもう何もない。ただ黙って抱きしめて、私...

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