第147章 彼の母親

平山亜美の視点:

  しばらく黙ってから、私は顔を横に向けて彼を見た。声を落として尋ねる。

「莉々と同じで……海で亡くなったの?」

  彼は首を振った。

「違う。母さんの遺灰を……海に撒いたんだ」

「だから海辺に来るたび思う。母さんの魂は波に乗って大西洋まで流れて、水の姿になって空へ昇り、世界中に広がっていったんじゃないかって。そうなら……きっと、どこにでもいるだろ」

「……うん」

  喉の奥がきゅっと締まった。

「きっと、ずっとそばにいるよ」

  海風がまた吹き抜ける。細められた彼の目を見つめながら、ずっと聞きたかったのに、怖くて飲み込んできた言葉をようやく口にした。

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