第164章 昔はたくさんの過ちを犯した

平山亜美の視点:

 街灯の光の輪、その縁に彼は立っていた。濃い色のコートを羽織り、骨ばった身体つきで、顔色もひどく悪い。

 私は動きを止めた。

 坂井陽――。

 宮下駿介が眉をひそめ、そのまま外へ出ようとする。

 私はそっと彼の袖をつかんで制し、少し黙ってから手にしていた冊子を置いた。息を整え、扉を押して外へ出る。

 扉の軋む音に、坂井陽の肩がわずかに揺れた。アトリエの灯りの方を見ていた視線が、ゆっくり私へ移る。

 ガラス越しじゃないぶん、輪郭がやけにくっきりして見えた。

 数か月前よりずっと痩せている。街灯に照らされた目が妙に光っているのに、そこにあったはずの浮ついた感じも...

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