第165章 あなたは私の推し

平山亜美の視点

  私は足を止め、そっと耳を澄ませた。

  騒がしい音は体育館の脇の廊下からだ。何人かの怒鳴り声に、ばたばたと走る足音――まるで誰かが追い回され、殴られているみたいな。

  眉をひそめた私は、深く考える前にその方向へ早足で向かった。

  廊下の突き当たり、曲がり角の照明が一つ切れていて、そこだけ薄暗い。

  角を回った瞬間、目の前の光景に、私は思わず急停止した。

  男子学生が二人に壁へ押さえつけられ、もう一人が拳を握りしめて振りかぶっている。

  周りには数人の野次馬。スマホを構えて撮っているやつまでいた。

「やめなさい!」

  私は鋭く怒鳴った。

  ...

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