第167章 この日が本当に来た

平山亜美の視点:

 ホールの外は、いつの間に準備されたのか――階段が暖かい白のイルミネーションで縁取られ、入口から広場の中心まで、光の道がまっすぐ伸びていた。

 その光の先に、小さな弦楽バンドが立っている。

 先頭のヴァイオリン奏者が、私の姿を見つけて小さくうなずいた。次の瞬間、弓が走り、最初の一音が夜気を切り裂く。

 聴き覚えのある旋律。

 初めて耳にしたとき、曲名なんて知らなかった。

 ただ、ある午後――キャンパスの並木道を歩いているときに流れてきたのを覚えている。

 そしてその日の午後、顔を上げた私の視界に入ったのは、校門の前に停まった車と、車体にもたれてこちらを見ていた...

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