第26章 どうして彼女を好きになれるのか

坂井陽の視点:

「危ない!」

耳元で叔父さんの低い声が弾け、俺ははっと我に返った。見ると、平山亜美がふっと体勢を崩し、そのまま横へ倒れかけている。

反射的に手を伸ばす。だが指先が彼女の袖に触れるより早く、視界を人影が切った。

宮下駿介が先に亜美の腰をしっかり抱きとめ、腕の中へ引き寄せていた。

その顔に浮かんだ焦りを、俺ははっきり見てしまい――頭が真っ白になる。

そして、さらに思考を止める光景が続いた。

宮下駿介は迷いなく身を屈め、亜美を横抱きにした。

「……っ」

亜美が小さく息を漏らす。青白い頬が無意識に彼の肩へ寄り、腕が彼の首に回る。

流れが、あまりにも自然だった。滑ら...

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