第27章 これが彼女があなたと別れた理由です

坂井陽の視点

  桜井有紗だ。

  このタイミングで、なんで――。

  昨日、バックステージで平山亜美に浴びせられた、あの刃みたいな言葉が脳裏をよぎる。本来なら、うんざりするべきだ。少なくとも、距離を置こうと思うべきだった。

  なのに。

  画面の上で点滅しつづける名前と、しつこく鳴りつづける着信音を見ていると、胸のどこかが、ふっと柔らかくなる。

  いま……有紗も、つらいんじゃないか。

  昨日、みんなの前で平山亜美に恥をかかされた。あいつだって、平気なはずがないだろう。だって桜井有紗は、あんなにプライドが高い。

  気づけば俺は、おじさんの氷みたいな視線を背中に感じたま...

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