第39章 あなたは私に決して無理強いしないと言った

平山亜美の視点

「離して! 坂井陽、何するのよ!」

 引っぱられた勢いで体がぐらつき、そのまま彼の胸にぶつかった。むっとする煙草の匂いが鼻を刺し、恐怖で悲鳴が漏れる。両手を彼の胸に突っぱね、必死に押し返した。

「離して! やめて!」

「うるさい!」

 坂井陽が怒鳴り、私の手首を力任せにつかみ上げる。もう片方の手は肩に掛けたバッグへ伸び、乱暴に中をかき回した。

「鍵はどこだ!? 鍵を出せ!」

「やだ! 離して! 助けて!」

 私はむちゃくちゃに暴れ、足で蹴った。けれど彼はびくともしない。抵抗なんて見えていないみたいに、今度は私を思いきり突き飛ばす。

 背中がドアに激突し、鈍い...

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