第43章 中尾理沙と私はそういう関係じゃない

平山亜美の視点:

  彼がスマホを取り出すのを見て、私はうつむいたまま、流れでその画面を覗いてしまった。

  そこに踊っていた着信表示――中尾理沙。

  頬に浮かんでいた笑みが、じわりとほどけて消える。

  そうだ。彼のそばには、ああいう人がいる。

  さっきまで彼の言葉で胸に灯った熱は、この着信ひとつで潮が引くみたいにあっという間に冷めていった。

  宮下駿介は画面を一瞥し、私に「少し待ってて」と手で合図すると、立ち上がってスマホを持ったまま、リビング続きのベランダへ出ていった。

  スピーカーにしていないのに、中尾理沙は声が大きい。断片が、薄いガラス越しにふわりと漏れてくる...

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