第50章 どうして彼女に時間がないと分かるんだ

宮下駿介の視点

 執務室でようやく腰を下ろしたところへ、秘書がノックして入ってきた。

 「局長、中尾さんがお見えです。……至急、お話ししたいことがあると」

 秘書はどこか言いにくそうに、声を潜めて告げた。

 俺は反射的に眉をひそめた。

 至急――?

 そんなもの、足の指で考えたって何の用件か分かる。

 じわりと痛むこめかみを揉み、ひとつ溜息をつく。

 「通してくれ」

 「かしこまりました」

 秘書が下がる。

 ほどなくして執務室の扉が開き、軽快なハイヒールの音と、嗅ぎ慣れた香水の匂いが流れ込んできた。

 「サプラーイズ! 宮下駿介!」

 中尾理沙はやたらと華やかな笑...

ログインして続きを読む