第60章 人はすでに亡くなった

宮下駿介の視点

 俺は素早く手を伸ばし、テーブルの上のスマホをひったくるように掴んだ。画面に表示されていたのは、秘書の名前。

 その瞬間、眠気が一気に吹き飛んだ。

 平山亜美も目を覚ました。

 俺の腕の中から顔を上げた彼女は、まだ目元を腫らし、髪もぐしゃぐしゃのまま頬に張りついている。呆然とした顔のまま、それでも慌てて訊いてきた。

「……阿部さん? 何か分かったの? お父さんとお母さんのこと? 連絡、あったの?」

 ベッドに手をついて起き上がろうとする。その手が、かすかに震えていた。

「お前はまだ横になってろ」

 俺は彼女をそっと離し、スマホを手に立ち上がる。

「たぶんフラ...

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