第63章 彼は本当にいい男の子だ

平山亜美の視点

  そのひと言と同時に、思考が誰かに停止ボタンを押されたみたいに固まった。頭の中の歯車が、ぷつんと噛み合わなくなる。

  ――彼は、まだ私を見ている。

  灯りを受けて深く沈んだその瞳は、逃げ道をひとつも残さず、まっすぐ私の奥まで覗き込んでくる。

  本気だ。

  本気で、答えを知りたがっている。

  そして私は、彼が何かを期待しているのを感じてしまった。私の中の答えも、喉元までせり上がってきている。

  ……でも、言えない。

  言いたいことは山ほどあるのに、いざ口を開こうとすると、見えない壁に遮られて、全部が喉のところで詰まってしまう。ひと文字も、外に出て...

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