第78章 証明することなんて何もない

平山亜美の視点

 頭の中で花火が弾けたみたいだった。ドン、と一発。理性も、遠慮も、迷いも、不安も、ぜんぶ粉々に吹き飛んで――残ったのは、きらきらした眩しさと、焼けるような熱だけ。

 この人は、私のことが好きだと言った。

 男が女を好きになる、その「好き」。

 他にもたくさん言ってくれたのに、もう耳に入ってこない。

 ただ、彼の唇が柔らかいこと。息が熱いこと。両手で私の頬を包む指先が、驚くほど優しいこと。

 まるで、壊れやすい宝物を持つみたいに。力を入れるのが怖いのに、手放すのはもっと怖い――そんなふうに。

 彼は、私の返事を待っている。

 なのに私は口を開いて、気づいた。

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