第83章 娘をあなたに託した

平山亜美の視点:

 宮下駿介が顔を上げ、私を見た。

 私も、彼を見返す。

 沈黙が、たぶん二分くらい続いたあと。彼は腰を折って、床に落ちていた小さな箱を拾い上げた。

 ……私に何も訊かないまま。

 手に取って、ちらりと中身を確かめるように眺め、それから何事もなかったみたいにテーブルの上へ置く。

「カンクンの夜は冷える。エアコン、下げすぎるな。窓を少し開けて風を通したほうがいい」

 彼はテーブルのエアコンのリモコンを手に取り、ピッと音を鳴らして温度を2度上げた。

 そのままベランダへ向かい、窓をすっと少しだけ開ける。

 私はぎこちなく頷いた。

「……うん」

「パジャマ、ソ...

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