第89章 彼らが君の可愛さを知ったら終わりだ

平山亜美の視点:

  彼は着信表示をちらりと見て、眉間にうっすら皺を寄せた。相手に何か短く返しているうちに、顔色がみるみる悪くなっていく。

  そして「分かった」とだけ言って、通話を切った。

  スマホをテーブルに置き、眉間を指で揉む。

「どうしたの?」私は恐る恐る覗き込んだ。

  彼は手を下ろし、心底うんざりした顔で私を見る。

「人にはそれぞれ悩みがある。たとえば今、俺の悩みは……」

  少し間を置いて、これ以上ないくらい不本意そうに、最悪の知らせを告げた。

「出勤しないといけない」

  一拍遅れて、私はぷっと吹き出した。

「何が可笑しい」彼が眉をつり上げる。

「部長...

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