第90章 さっき誰に会ったんだ

平山亜美の視点

  棚の三段目、いちばん奥の隅に――ブルーベリー味のバタークッキーが一箱、置かれていた。

  コーヒー豆とティーバッグの間に紛れているせいで、むしろ不自然なくらい目立つ。しかも箱の下には、メモ用紙が一枚、ぺたり。

  私は腰を落として、そのメモをそっと引き抜いた。

  そこに書かれていたのは――宮下さんから平山さんへ、用意しました。

  一瞬きょとんとして、次の瞬間には口元が勝手にゆるむ。押さえようとしても、どうにもならない。

  いつの間に?

  今日ここまで、ずっと一緒にいた。スマホを触るところだって見ていない。なのに、どうやって秘書に指示を出したんだろう。...

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