第96章 彼女は逃げ場がない

平山亜美の視点

ほとんど私を見た瞬間だった。桜井有紗が目を見開く。

次いで視線が、私と宮下駿介がきつく握り合った手へ落ちた。表情が一瞬、真っ白になる。――そして何かを悟ったみたいに、彼女は声を張り上げながらこちらへ突っ込んできた。

「平山亜美! あんたが私を陥れたんでしょ!? あんたでしょ! 何とか言いなさいよ、黙ってないで! いつから宮下駿介と付き合ってたの!? 私をハメたんでしょ!?」

私は顔を冷たくした。

「誰も陥れてない。桜井有紗、あれが全部あんたの仕業じゃないって言えるの? 全部、誰かの冤罪だって?」

桜井有紗の表情が、ぴたりと固まる。

次の瞬間、彼女は警察官に容赦な...

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