第98章 誰を甘やかすつもりだ?

平山亜美の視点:

「……何してるの?」

びくっとして、とっさに身を引こうとする。顔を上げた瞬間、目の前の仕切り板が視界に入って、慌てて彼を見た。

「ねえ、秘書さん……前にいるんだけど」

声を落として言う。

「この車、防音がしっかりしてるんだ。仕切りを上げたら、後ろでどれだけ大声でも前には聞こえない」

彼は私の顎先を指でなぞり、薄い唇がまた近づいてくる。

本能的に後ろへ下がる。でも後部座席は狭い。ほんの少し逃げたところで、もう背中が当たって――逃げ場がない。

次の瞬間、腕の中に押し込まれ、熱いキスを受け止めるしかなかった。

片手が後頭部を包み込む。指先が髪の根元をゆっくり揉む...

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