第99章 うちの娘が恋煩いになった?

平山亜美の視点:

  一瞬、きょとんとして――次の瞬間、胸がぱっと明るくなって、私は振り向いた。

  ドアのところに、母が寄りかかるように立っていた。やわらかな笑みを浮かべ、私を見つめる目尻まで優しい。

  「ママ!」

  思わず声が弾けた。椅子から跳ね起き、三歩で距離を詰めて、そのままぎゅっと抱きつく。

  母の体からは、懐かしい香水の匂いがした。淡いジャスミン。小さい頃、眠れない夜に頭を撫でられながら嗅いだ匂いと同じで――それだけで喉の奥がきゅっとなる。

  私は母の肩に顔を埋め、こすりつけるみたいに頬を擦った。

  「どうして帰ってきたの?」

  母は笑いながら手を上げ...

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