第10章 小娘が、やっと帰ってきたの?

電話の向こうが沈黙した。

須藤千奈は、彼女のことをよく知っている。こういうときほど、朝夜が平然を装べば装うほど――事態は深刻だ。

「望月朝夜……」

須藤千奈の声が詰まった。

「何でもかんでも一人で背負わないでよ。私を何だと思ってるの?」

「一番の親友だと思ってる」

望月朝夜はそう言って、少し間を置く。

「だから……私を心配させないで」

通話を切ると、部屋はまた死んだように静まり返った。

窓の外は鉛色の空。

ふと、今夜がチームの祝勝会だと思い出す。

朝夜は息を整え、スーツケースを漁って、まだまともに見えるワンピースを引っ張り出した。浴室へ入る。

鏡の中の女は、青白い。目...

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