第107章 勝訴

彼は手を伸ばし、彼女の肩に触れようとして――途中で宙に止めた。

今さらどんな慰めの言葉を並べても、薄っぺらく響くだけだ。

時間だけが、じりじりと過ぎていく。

廊下は静まり返り、心臓の鼓動さえ聞こえそうだった。

どれほど経ったのか。手術室のランプが、赤から緑へと切り替わる。

望月朝夜はよろめきながら入口へ駆け寄った。

執刀医がマスクを外す。疲労の色が濃い。

「傷が深く、出血量も多かったです。ただ、刃がほんのわずかに逸れてくれたおかげで、重要臓器には達していません。命は取り留めました。ですが、これから長い静養が必要です。二度と無理はさせないでください」

望月朝夜は膝が抜け、身体が...

ログインして続きを読む