第109章 根絶やしにしろ

どれほど時間が経ったのか。やがて、扉が開いた。

医師はマスクを外し、疲労の滲んだ顔で早口に告げた。

「命は取り留めました。ただ、お腹の子の状態が非常に不安定です。いつ急変してもおかしくない。二十四時間の監視が必要です」

命は――助かった。

結城永司の瞳から血の気が半分抜け落ち、次の瞬間には、さらに濃い恐怖がその穴を塞いだ。

望月朝夜は、最高級の私立病院へ転院となった。

結城永司はあらゆる伝手を動かし、産婦人科と神経科の第一人者を、夜通しプライベートジェットで呼び寄せた。

彼は病床の傍を離れなかった。一歩も。

紙のように白い顔。身体に繋がれた無数の機器。規則正しく鳴る電子音。

...

ログインして続きを読む