第11章 実に可笑しい

望月朝夜はスマホを握り締めた。胸の底が冷え切っていくのに、どこか滑稽で――笑えてしまう。

自分はまだ、法的には結城永司の妻だ。

それなのに彼は、相馬万珠を連れて、まるで「この家の女主人」みたいな顔で結城家の大事な席に出るつもりらしい。

最後の体裁すら、くれる気はない。

この結婚は、最初から最後まで――あの見栄だけのドレスみたいだった。派手に光って見えるだけで、中身は空っぽ。

望月朝夜は返信しなかった。

メッセージも、連絡先も、そのまま削除する。

……

寿宴当日。

望月朝夜が選んだのは、飾り気のない黒のワンピース。化粧もしていない。

勝ち負けを競いに行くつもりはなかった。た...

ログインして続きを読む