第121章 時間があまりない

「監視カメラを張れ」結城永司が指示を飛ばした。

だが、2号車が一方通行の路地へ差しかかった、その瞬間だった。無線に耳障りなノイズが走る。

「ジジッ――ジジッ――」

「結城社長! 回線が落ちました! 2号車のGPSが消えています!」秘書の声が裏返る。

結城永司は背もたれから跳ね起きた。

「引き返せ。旧市街へ!」

――同刻、旧市街。

望月朝夜は黒いセダンの後部座席にいた。

ハンドルを握るのは林田修。

「朝夜、怖いか?」林田修は前を見据えたまま、低く訊く。

「怖くない」

朝夜の手には、白くなるほど握り締めたUSBメモリ。

少し先、赤い『工事中』の看板が朝靄の中でやけに目につ...

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