第128章 このことは誰にも知られるな

望月朝夜は怒りで全身が小刻みに震えていた。

――分かってた。

この男は、最後まで自分を信じない。

「結城永司!」林田修が堪えきれずに声を荒げる。「朝夜は今日、危うく命を落としかけたんだぞ! 俺が前もって人を手配してなかったら……!」

「お前が手配した人間?」

結城永司は言葉を遮り、林田修へ視線を向けた。露骨な敵意が滲む。

「どうして危険があると分かった。……それとも最初から、お前らが組んで仕組んだことか?」

「話にならない!」林田修が歯噛みする。

結城永司の、怒りで歪んだ顔。

それを見た瞬間、朝夜の胸の奥に押し込めていた悔しさが、堤防を決壊した濁流みたいに一気に溢れ出した。...

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