第129章 汚名

病院。

望月朝夜はスマホの画面に表示されたメールを見つめたまま、指先の感覚が失われていくのを感じていた。

『近日発生した研究開発の権利をめぐる紛争を受け、弊社は貴社との協業を当面停止いたします。関連ラボのアクセス権限は即時回収します』

たった数行。けれど、それだけで彼女の道は断ち切られた。

スマホを伏せる。瞳の奥は、凪いだ死水みたいに静かだった。

――この手稿に触れられるのは、自分以外なら望月家の人間だけ。

「望月先生、お薬の交換の時間です」

看護師がドアを押し開けて入ってくる。

望月朝夜は顔だけ向けた。

「退院手続きをお願い」

看護師は目を丸くして、慌てて手を振る。

...

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