第130章 結城家の面目を守る

「こんな人間が研究だなんて……学界の恥さらしだ!」

「父親が脳卒中で倒れて、まだ入院中なんだって。夫婦で生活も相当きついらしいよ……」

耳障りな罵声に、通行人が次々と足を止めた。

スマホを構えて撮影を始める者も少なくない。

望月朝夜の顔色が、じわじわと失われていく。

まさか望月奥様が、こんな下劣な手を使ってくるなんて。

胸の奥で煮え立つ怒りを必死に押さえ込む。けれど――下腹部が、鈍く疼きはじめた。

「望月朝夜! このクズ! さっさと出てこい!」

甲高い声がガラス越しに突き刺さり、朝夜の耳の奥までえぐってくる。

朝夜はソファの縁に手をついて立ち上がった。

一歩、また一歩。足...

ログインして続きを読む