第132章 恩を売った

望月朝夜は目を閉じた。

結城永司は、ただ自分が足掻く姿を眺めたいだけなのだと――そう思っていた。

だが違った。

彼は見て見ぬふりをした。それどころか、間接的に他人の駒にされ、彼女を逃げ場のないところまで追い詰めた。

「……あの人は、私に思い知らせたいのよ。あの人がいなきゃ、私は何もできないって」

林田修は彼女を見つめ、言葉を失った。

結城永司の腹の内など、彼にも読めない。

「……まだ、道はある」

唐突に望月朝夜が言った。

林田修が視線を上げる。

「先生なら……助けてくれるかもしれない」

望月朝夜はスマホを取り、長いあいだ封じていた番号を押した。

呼び出し音が、やけに長...

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