第142章 手がかりがすべて途絶えた

望月朝夜は眉をひそめた。

薬には人一倍敏感だ。鼻先をかすめたのは、ほんのわずかな苦い杏仁の匂い。

「……これは、何の薬?」

「胎児を守る薬です」

医師は表情ひとつ動かさない。

「結城社長がわざわざ海外から持ち帰られました。よく効きます」

望月朝夜は、ラベルひとつ貼られていない小瓶を見つめ、胸の奥にざらりとした不安が生まれた。

すぐには手を伸ばさず、いったんベッドに身を沈める。

「そこに置いて。あとで飲むから」

医師は一瞬ためらったが、それ以上は何も言わず、踵を返して出ていった。

ドアが閉まった、その瞬間。

望月朝夜はぱっと目を見開いた。

下腹の鈍い痛みをこらえ、ベッド...

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