第146章 ほかに異議はあるか?

――その頃。

結城永司は、護衛から上がってきた報告書に目を通していた。

「望月嬢は終日、部屋に籠もったまま。特に異常はありません。ただ先ほど、ネットワークのポートに暗号化された長時間通話の痕跡が出ました。相手は林田家の――あの方です」

結城永司は監視映像に映る、固く閉ざされた窓を見つめたまま、机を指先でトン、と二度叩く。

――実験設備。

データを手に入れた以上、次は臨床段階へ進むはずだ。

だが雲市で、彼の許可なく使えるまともなラボなど存在しない。

……いや、例外がある。

ふいに何かを思い出し、結城永司の顔から血の気が引いた。

「……あそこを洗え」

   *

相馬万珠はス...

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