第150章 もう行っていい

「深夜2時から4時の交代のあいだ、西側の斜面に12分の巡回の空白がある。こっちは4日連続で張って掴んだパターンだ。十分だろ」

受話器の向こうで、カチ、とライターの音がした。望月当主が煙草に火をつけたのだ。

相馬万珠は口調を変え、少しだけ柔らげる。

「分かってるわ。あの子、長年あなたの家で育ったんだもの。情があるのも当然。でも……自分のことも考えなさいよ」

煙を吸う音が止まった。

「今夜だ」望月当主が言った。

――深夜。

別荘の裏手。山肌の排水溝に沿って、黒い影が三つ、じりじりと進む。

先頭は平野。

五十過ぎ。背は低く、がっしりした体つき。手には工具箱。中には改造した時限式の...

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