第159章 異常

結果が出たのは、2月3日だった。

望月朝夜は工場棟の外にある事務スペースでロット記録を突き合わせていた。そこへ、携帯が鳴る。

ファイザー品質部長のデイビッド・チェンからだ。出た瞬間、第一声がもうおかしかった。

「問題が出た」

「どんな?」

「エンドトキシンが規格超過だ。初回ロットの測定値が、上限の4倍」

望月朝夜は、携帯を握る指に力を込めた。

エンドトキシン超過――それは、この製剤を人体に投与した場合、重篤な免疫反応を引き起こしかねないということだ。

発熱、ショック、最悪は致死。

小さな不具合じゃない。

臨床試験そのものを、真正面から殺せるレベルの事故だ。

「データ送っ...

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