第182章 もう一人息子を産む

林田修は彼女に押し切られ、須藤千奈を先に車で待たせることにした。自分は彼女に付き添って、研究棟へ向かう。

研究棟は、やけに静かだった。

望月朝夜が入館カードをかざし、林田修が一歩遅れて中へ入る。

廊下は一見いつも通り。だが、彼女の実験室へ近づくほど、空気に混じる匂いが――どこかおかしい。

胸の奥が、どすんと沈んだ。

朝夜は足を速める。

実験室の扉は、半開きだった。

望月朝夜が押し開ける。

その瞬間――時間が止まったように感じた。

入口に立ち尽くしたまま、目の前の光景を見て、全身の血が一気に凍りつく。

もう、ここは実験室と呼べる場所じゃない。

彼女が自分の手で調整した遠心...

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