第196章 料理に問題がある

端正な顔立ちに浮かんでいるのは、本人ですら言葉にできない――極限まで複雑に絡み合った感情だった。

彼女は、同情を買うための芝居なんかしていない。

結城永司はノートパソコンを閉じた。

立ち上がり、もう一度、望月朝夜の病室へ戻る。

望月朝夜はさっきと同じ姿勢のまま、ベッドに凭れて座っていた。脆い白磁の像みたいに、指先で触れたら砕けてしまいそうで。

「メールは読んだ」

結城永司の声は、どこか乾いていた。

「学術交流だった」

認めたのだ。彼女に下した有罪判決を、自分の手で覆した。

望月朝夜は表情を変えない。ただ、小さく「……うん」と返しただけ。

病室はまた沈黙に沈む。

長い、長...

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