第197章 滑稽極まりない

黒いスーツ姿の男が二人、車から降りてきた。無表情のまま、須藤千奈の進路を塞ぐ。

千奈の胸がひゅっと縮む。反射的に、手にしていたバッグを背中側へ隠した。

「須藤嬢。うちのボスが、少しお話ししたいそうで」

一人が口を開く。声に抑揚はない。

「あなたたちのボスって誰? 知らないんだけど」

須藤千奈は平静を装いながら、もう片方の手をそっとバッグの中へ滑り込ませた。スマホに触れようとした、その瞬間。

「ボスが言ってましたよ。好奇心が強すぎるのは、ろくなことにならないって」

もう一人が一歩前へ出る。視線が、千奈のブランドバッグに落ちた。

「触っちゃいけないものには、触らないほうがいい。首...

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