第22章 犬に一口噛まれたと思えばいい

「結城永司、精算しましょうか」

望月朝夜はゆっくりと言った。

「三年前、あなたはベッドの上で眠ったまま。医者は『この先、一生目を覚まさないかもしれない』って言った。相馬万珠は去って、望月家は婚約破棄を決めた。……それでも、私が結城家に嫁いだ」

「一年間、私はあなたを守った。身体を拭いて、マッサージして、経済ニュースを読み聞かせて。そういうことだけなら木下さんでもできる。でも――私みたいに、専門知識であなたの体の変化を毎回分析して、治療方針を調整するなんて、彼女にはできない」

結城永司の目が沈む。だが、言葉は返ってこない。

望月朝夜はそのまま、落ち着いた速度で続けた。

「それから、...

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