第38章 恨むなら、お前の運が悪かったせいだと思え

結城家、本家。

黒塗りのベントレーが、音もなく門前に滑り込み、ゆっくりと停まった。

望月朝夜の胸の内は、言葉にできない味で満たされていた。

結城家に嫁いで三年。ここへ足を踏み入れた回数は、指で数えられるほどしかない。

そして今回の訪問理由は――自分の「罪」だ。

執事が深々と頭を下げ、恭しく先導する。通されたのは書斎だった。

檀香の匂いがほのかに漂う。

結城爺さんは立派な肘掛け椅子に腰を沈め、数珠を手の中でゆっくりと繰っている。

「座れ」

目を開けた声は低いのに、背筋を正させる威があった。

「爺と一杯、茶を飲め」

望月朝夜は言われるまま腰を下ろし、両手で茶碗を受け取る。

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