第40章 二度と、戻れない

彼女の言葉は、潔いほど――残酷だった。

結城永司の顔色が、底まで沈む。

彼がいちばん嫌うのは、それだ。

何も痛がらないみたいな、何も失わないみたいな顔。

まるで自分も、この結婚も、彼女の世界では羽虫ほどの重さしかないと言われているみたいで。

「感情がない? 望月朝夜、三年前、泣いて縋って――植物人間の俺と結婚したいって言ったのは誰だ。今俺が治ったら、もう利用価値がない。そう思って捨てて、幼馴染のところへ行くのか?」

「利用なんて、したことない」

「じゃあ何が欲しい」結城永司が遮り、間合いを潰すように詰め寄る。「清いふりをするな。手を尽くしてきたのは、もっと欲しいからだろ。言え。...

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