第64章 彼女が路頭に迷うのを見たくない

「もしもし、須藤千奈さんでしょうか。わたくし、不動産仲介の太田と申します。以前、弊社のサイトで賃貸のご希望を登録されていましたよね?」

須藤千奈は、自分がいつ登録したのかすら覚えていなかった。

「え……たぶん、そうだったと思いますけど。どうしたんです? 空き物件でも出たんですか?」

「はい。実はですね、オーナー様が急きょ数年ほど海外へ行かれることになりまして、2LDKのお部屋を至急お貸ししたいそうなんです。内装はフルリフォーム済み、家具家電つきで即入居可。それに立地がとても良くて、中央病院にも、お友達の学校の研究所にも近いんです。セキュリティも万全でして、それなのに賃料がかなりお安くて...

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