第71章 人助けは最後まで

ホテル、最上階のスイート。

結城永司はソファにもたれ、電話口で感情たっぷりに芝居がかった声を張り上げる秘書の報告を黙って聞いていた。

ふと視線を落とす。自分のシャツは、血の一滴すら付いていない。

眉がわずかに動く。

――こいつ、役者にでもなればいいのに。

だが、止めはしなかった。

彼も知りたかったのだ。

望月朝夜が、本当に来るのか。

来るなら、何を選ぶのか。

……

望月朝夜は車を飛ばした。

心の中で何度も何度も、自分を罵る。

望月朝夜、あんたは本当に馬鹿だ。

あいつの言うことを鵜呑みにして、たった一本の電話で踊らされて。

それでも――泣き声混じりの懇願を聞いてしま...

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