第72章 休むと思うな

望月朝夜は、もう言い争う気にも、説明する気にもなれなかった。

壁に向かってどれだけ言葉を投げても、壁は理解しない。

彼の指が食い込む手を、朝夜は振りほどく。

「この話、もう言うことないから」

そう言い捨てて襟元を整え、踵を返した。

扉が閉まり、鈍い音が部屋に落ちた瞬間――結城永司はようやく夢から覚めたように瞬きをした。

空気の中には、彼女の淡い香りだけが薄く残っている。

胃の灼ける痛みが、そのまま胸の奥へと這い上がってくるようだった。

追いかけたい。けれど全身の力が抜け落ち、頭の芯が割れるほど痛い。

離婚?

ソファに身を沈め、永司は短く鼻で笑った。

望月朝夜――そんな都...

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