第73章 まさか、まだ心が弱い

「朝夜、お前……決めたのか?」

「うん」望月朝夜は迷いなく言った。「決めた」

昨夜ほど、はっきりした瞬間はなかった。

尊厳を踏みにじられ、積み重ねてきた情さえ、あの男の手で引き裂かれた。これ以上しがみついても、意味なんてない。

「分かった」林田修はそれ以上、聞かなかった。

彼には分かる。

望月朝夜は、もう崖っぷちまで追い詰められている。

「この手の案件で一番強い弁護士を知ってる。あとで連絡先を送る。心配するな、俺が段取りする」

「修、ありがとう」

「俺たちの間で、それは要らない」

通話を切ると、胸の奥に居座っていた石が、てこのように少しだけ持ち上がった気がした。

もう過...

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