第76章 入院

彼女は顔を上げ、恐る恐る彼を見つめた。瞳の奥には、縋るような依存と、叶えてほしいという期待がいっぱいに揺れている。

結城永司の視線は、相馬万珠の平らな下腹へ落ちた。

――自分の責任だ。

胸の奥に湧いた正体の知れない感情を、彼は無理やり押し沈める。

「……分かった」

その一言をもらった途端、相馬万珠は涙を拭って笑った。

けれど結城永司の胸は、何かで塞がれたみたいに重い。

彼は鶏スープの椀を手に取った。なのに脳裏に浮かんだのは、望月朝夜の、血の気のないくせに意地だけは強烈な顔だった。

今ごろ、何をしている。

あの性格だ。こんな大事になった以上、相手が誰だろうと最後まで噛みつく気...

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